地下道を戻ると眩しい陽射しのある庭がふたたび顔を見せます。86歳で他界するまで、太陽の光を受けた人や建物や自然から受ける「印象」を描き続けたモネは、この事をこんな風に語っています。


 「私にとってモチーフそのものはそんなに重要ではありません。モチーフと私自身の間にあるものをただ模写したい。模写する対象は光と影ではなく、光と影の中に置かれた絵です」

 「池に睡蓮を植えることにしたのは眺める楽しみや喜びのためでこそあれ、決してこれを描くためのものではありませんでした。
 ところがある日、この池の妖精が私にとりつき、私は睡蓮を理解し、それから後には他にほとんど描く対象を必要としなくなったんです」



 この言葉を記念館で見て、折角ですから庭をもう一周りして来ました。   (終わり)