学生街のリュクサンブールを出発して約30分。バスでの移動はここヴィクトール・ユーゴーでおしまいになります。今まで「16区は高級住宅街だ」と紹介して来ました。ちょっと時代背景も抑えておきましょう。

 ここ16区一帯がパリ市に加えられたのは1850年代、ナポレオン3世の時代です。それまでは郊外の村に過ぎなかったこのエリアが注目を浴びるきっかけとなったのは、背後にブーローニュの森を控える豊かな自然と高台を擁する地形、ミネラルウォーターの湧き出る泉などです。これらが新興勢力であったブルジョワジーの支持を得ました。

 エッフェル塔がお目見えした1889年の万博、その後の1900年の万博がパリ市の建築ラッシュを呼んで、彼らブルジョワジーはこぞってここ郊外の理想郷に邸宅を構えるようになりました。パリ中心部ではなかなか目にすることのできない一戸建てが16区に多いのもこんなわけです。(上の写真はヴィクトール・ユーゴー広場)

 さらに言うと16区には幅広の道が多いです。これは先のブルジョワジー達の移動手段である馬車やその後の自動車などが通行することを考慮して作られたからです。
 この点、リュクサンブール近くのカルチェ・ラタンとは全然違います。その証拠に5区・6区といったパリ市中心部は自動車は対面通行できず一方通行の道が多いのです。

 ユーゴー、バルザック、デュマなどの時の文豪がこの地に住み(彼らは浪費家としても有名ですが)、ギマールの機能美を備えたアール・ヌーヴォー様式の建築が並び、高級住宅街として確固たる地位をつかむに至ったというわけです。

 そんな16区を感じながら、この小旅行の締めくくりにAvenue Victor Hugo(ヴィクトール・ユーゴー大通り)を凱旋門のあるエトワール広場まで散歩してみましょう!





82番バスでパリ観光 路線図
(所要時間:約1時間30分)