ルピック通りがジラルドン通り(Rue Girardon)と交差する所にムーラン・ラデ(Moulin Radet ラデ風車)がそびえています 。丘の中腹の風車はかつてここが畑や果樹園の広がる農村だったことの証です。

 パリ市に組み込まれる前は見晴らしの良いところだったでしょうから、丘を吹き上げる風を受けて力強く回り、農作業を助けていたんだと思います。

 ルピック通りにはもうひとつ往時の風車が現存しています。ルノワールやゴッホが描いたムーラン・ドゥ・ラ・ギャレット(Moulin de la Galette)です。残念ながら間近で見ることはできず、木々の隙間からようやく見えるという感じ。この風車は1640年に建てられました。


 ルノワールの「Le bal du Moulin de la Galette」は1876年の作品。ルノワールはダンスホールだったムーラン・ドゥ・ラ・ギャレットをテーマとした絵の構図を思いつき、経営者ドブレ氏は彼のために一大仮面舞踏会を開いたのです。

 「歴史の1ページ。正確きわまりない、パリの生活を活写した貴重な記念物」とまで評されたこの絵画は1877年の第三回印象派展に出品された後に画家仲間のカイユボットが買い取って、遺言によって国に遺贈されたのでした。現在ではオルセー美術館に収蔵され、その人気は周知の通りです。






モンマルトルの丘散策ポイント
(所要時間:約2時間30分)